広告写真の撮り方 : 撮影テクニック

HOME > BLOG

商品撮影 単品撮影と集合撮影の配置とライティング

投稿日:2015年3月20日
ファッション&グッズ-003web

グラスの集合写真、形状とディティールの表現が大切

上記の写真はグラスの角版・集合撮影ですが、商品撮影には、単純なカテゴリー3つがあります。

単品撮影は商品を単体で撮影する事。

切り抜き撮影は、撮影した単品撮影・集合撮影の画像を切り抜き易く撮影する事で、写真・画面の中に、映り込みをカバーする為の黒い紙や仕掛けなどが写っている事の多い写真・画像の撮影です。

切り抜きは撮影時に切り抜きする訳ではなく、撮影後にパスツールを使って切り抜いて、イラストレーターなどでデザインに貼り付けます。商品単品撮影の殆どは切り抜き用に撮影しています。

切り抜きせずに、トリミングのみで白やグレーの余白を生かして、使う方法は角版撮影・角版使用と呼ばれます。イメージ撮影や背景を生かした撮影も角版使用と呼ばれ、略して「角」と呼んでます

単品撮影は商品を見せる角度・向き・アングルを注意して撮影していきますが、広告写真を撮りなれてないフォトグラファーやアマチュアが難しいと感じる撮影が「集合撮影」「まとめ撮り」と呼ばれる、カラーバリエーションをまとめて撮影したり、部品パーツをまとめて撮影する事、器や食器、カテラリー、調理器具などをまとめて撮影する、カタログやチラシなどで見られる広告撮影方法です。

集合撮影と呼ぶことにしていますが、呼び方は業者によって変わるかもしれませんね。

この集合撮影の撮り方について、考えてみます。

物が2つ以上あれば集合・まとめ撮影になる訳ですが、2つになった時点で選択する事がいくつか発生します。簡単には物と物と、お互いにつけて撮影するか、離して撮影するかですが、デザイン次第なので、どちらが良いとも言えない事です。

以前、フォトグラファーで駆け出しの頃、撮影と切り抜き、レイアウトをする仕事をしていた時期があり、自分で撮影して、現像して、リサイズしてプリントして、ハサミで余白を切って、フィルムに貼りつける作業をしていた頃がありました。

今から、約20年前はアナログだったので、切り抜きは職人的な仕事でしたが、マックとフォトショップ、イラストレーター、クオークエキスプレスの登場で、そんなアナログのデザインの現場は劇的といっていいほどの変化があり、昨日まで使っていた、製版カメラも、引き伸ばし機も、フィルムも必要なくなり、ハサミはパスツールに変わり、引き伸ばし機はフォトショップの拡大縮小リサイズで済むようになりました。

アナログな機材が必要なくなって、デジタルなソフトとハードで撮影もデザインも進行して、クリーンでスピーディーな現場になりましたが、

写真撮影の基本的な部分は何も変わっておらず、集合写真、まとめ写真の撮り方は当時のフォトグラファー・デザイナーから学んでいて、その基本は今も普遍的なルールとして撮影に生きています。

難しいノスタルジーな話はここまで、

集合写真でルールとしている基本を述べてみましょう。

まずライティング

以前も触れていますが、メインライトは下手から(向かって左からのライティング)です。文字は左から読むので、左からのライティングの方が、一般的に馴染むためです。それにトップライトを入れて全体をライティングするのが基本的なライティングです。

集合の配置の仕方は、商品によって多少変わりますが、基本的な部分を説明すると、

高さのあるもの大きい物は上手(向かって右)から配置する。奥行のある置き方なら、右奥に大きい商品を配置。(ライティングで影にならず、右上がりで見やすくなります。)

あまり隙間を作らず、まばらにならないように配置する。(写真が小さくなっても商品が1個ずつ見えるように)

商品を重ねる必要があるときは商品の7割以上は見せるようにする。

タオルやノートなど四角いものなら、角を3つは見せるようにする。

同じ商品のカラーバリエーション集合であれば、色がわかるだけで良いので、重ねて配置する。

複数の種類の商品の場合は、種類別に配置して、混ぜないようにする。

他にも注意点はありますが、基本はこれ位です。

これを基本に配置をしていくと100点の大集合でも、なんとか絵になります。(そんなに多い集合は滅多にありません・・・)

それでも、「言うは易し」で実際に配置してみると難しい集合の商品撮影もあり、

陶器の集合など、割れ物なので、気を使いますし、タオルや衣類の集合もデザインやロゴの文字など、見せる部分の位置などを考慮して配置していきます。

そして商品ではなく人物の集合でもルールがあって

人物の集合写真の場合は中心に向かって人が斜め45度位の角度で内側に向かっていくと肩がぶつからず、狭いスペースでも人がたくさん入れます。あとは身長の高い人が後方になるなどの基本的な事ですが、はずせないルールです。

商品撮影のジャンルは沢山ありますが、集合撮影は地味ながら、フォトグラファーの配置センス・美的感覚が問われる広告撮影ですね。(スタイリスト・デコレーターがやってくれる場合もありますが・・)

広告写真の基本を大切にして、商品撮影の高みを目指したいですね。

 

 

 

 

カタログ・チラシの大量な商品撮影をするには

投稿日:2015年3月13日
大量のイメージweb

ファッションカタログの作例、沢山の撮影商品があります。

 

WEBカタログ・印刷のカタログ・カタログショッピング・商品パンフレットなど、世の中に売る商品があるだけ、商品写真が必要になりますね。

特にカタログショッピングやWEBショッピングでは、写真や動画だけで商品を判断して、実際の商品に触れずに購入する事もあるので、特徴をとらえて、商品を綺麗に価格以上の価値観を見いだせるように撮影する事は重要課題ですが、

膨大なギフトカタログや通販カタログの撮影点数になると、商品アイテムも1000点を超える場合もあり、撮影が雑になるのではないかと心配もしたりします。

大量に撮影があっても、雑にならず、一点ずつ丁寧に撮影するためには、段取り、計画が必要ですね。「千里の道も一歩から」と言いますが、1000カットの撮影も1カット目を撮影する前の段取りが、撮影のクオリティーとスピード、そしてコストダウンにつながります。

カタログ通販などの撮影が始まるまでには、商品の特長を説明するオリエンテーリングをして、その情報を元にデザイナー・コピーライターがデザイン案・ラフを制作します。ラフデザインにメーカーの保持している、メーカーポジ・メーカー画像を入れ込んで、足りない写真と、撮り直した方が良い写真を決めて、撮影会議、打ち合わせをして、撮影日を迎える事になるのが、簡単な流れです。

撮影点数、商品アイテムが100以上位になると、商品管理者が必要になる事もあります。商管と呼んでいる職業ですが、商品管理と撮影進行だけで、業務を成り立たせている会社が何社もあるほどで、大量な撮影点数の現場では、重要な役割を果たす仕事です。

香盤表と言う撮影スケジュールを制作する事にも、商品管理は必要になります。

商品点数が多いとスケジュール通りに商品が届かない場合もあり、その分撮影に負担がかかる場合もあります。

大量に撮影をするには、全ての商品を理解した上で、撮影の方法が同じ物、同じようなセッティングで撮影出来る商品をまとめて撮影する事が必要です。

撮影1点毎にライティング・セッティンング・場所が変わっていたら、いたずらに時間を浪費する事になります。

同じシーンで撮れる商品・同じセットで撮影出来るキリヌキカットの商品・同じ角版で撮影出来る商品・大きい商品・俯瞰撮影の商品

時計などのアクセサリーの商品・食品関係の調理が必要な商品など、まとめて、香盤を制作して、撮影の段取りをします。

撮影するフォトグラファーとスタイリスト、必要に応じてアシスタントを撮影の1チームとして、

1チームが撮影可能なカット数を過不足なく計算して、撮影日数と撮影チームの数を調整しますが、通常、撮影日数は決まっているので、日数に合わせてチーム数を計算します。

可能なカット数は過去の撮影実績と経験で計算するのですが、アクセサリーのイメージなら、1日30カット位が目安だったり、モデルでのロケ撮影なら、通常20~30カット位、スタジオでのアパレル商品の置き撮り、吊るし、貼りつけの撮影なら、60カット位と、商品によって難易度が変わるので、色々な撮影を経験したフォトグラファーが商品を見て判断すると無駄がありません。

チーム数が多くなると、撮影した画像のクオリティーチェックや統一感、ページ配置での写真の見え方などを管理するディレクターも必要となります。アートディレクターとも呼びますが、デザイナーがやったり、フォトグラファーがやったりと、ビジュアルの決定に責任を取れる人材がアートディレクター(AD)を担当します。写真の場合はフォトディレクターと言う呼び方もありますね。ディレクター不在で、ディレクションが決まらずに撮影をすると、撮影しながらの試行錯誤や撮り直しなど多く、無駄な進行になりがちです。

人材が確保出来たら、撮影と商品管理をする場所を決めます。

十分な広さを社内で用意出来れば問題ないのですが、出来ない場合は、大型倉庫を借りて、撮影と商品管理を同じフラットな場所で進めるのも効率的です。費用はかかりますが、人の動きが、横だけの動きになったりと利点は大きいものです。

倉庫を利用した撮影スタジオが多いのも、うなづけます。

撮影環境は非常に重要な事で、見積もり料金が安いからと、小さなスタジオで撮影を進めたりすると、撮影が徹夜続きでも終わらず、商品管理もスペース不足でミスが多く、当然のごとく撮影クオリティーも落ちてゆく、苦行のような撮影現場もあるようです。

スペースの確保ができたら、撮影になります。

撮影が始まったら、香盤通りに進めるだけですが、予定通り商品が届かなかったり、ギリギリで掲載商品が変更になったり、売りたい商品の色が変わったりと、撮影中でも修正する事はたくさんあります。

短い期間で3日間、長い期間で1か月を撮影した事がありますが、撮影点数が多いと撮影後の変更や商品の見せ方の変更での撮り直し、レタッチ修正など、また数日間の予備日を要します。

色校など数回の手直しをして、デザイン校正・印刷が終わり、印刷物、データが納品されて、しばらくして、売上に効果が出た時に初めて、長期間のカタログ通販、WEB通販等の撮影業務が終了します。

仕上がりの評価・売上が良ければ、次のシーズン・次号の撮影が受注できる可能性は高くなり、結果を出し続ければ、毎号・レギュラーの撮影となります。

大規模なカタログ撮影の依頼でも、通年で契約する事は殆どないので、毎回の撮影に改善点を探して、ブラッシュアップしていく必要があり、気を抜く事は出来ません。

カタログ撮影やWEB販売撮影・通販撮影を続ける行く事は、細かな注意と商品を綺麗に分かり易く撮る気持ちを、連続して持ちつづける事が大切だと思っています。

そして、雰囲気良く、楽しく撮り続けたいものです。

今回はここまで。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

フード・料理撮影・麺類の撮影

投稿日:2015年3月11日
D-03web

こだわりのみそラーメン パッケージ用撮影です

 

料理写真・フード写真はスピードを要する場合が多く、麺類などの、ラーメン・ソーメン・ひやむぎ・にゅうめん・うどん・きしめん・そば、いろいろな麺類があります。

ラーメンなどの熱い麺類の料理の撮影で難しい事は、3分位で、すぐに麺が伸びてしまう事です。

雑誌やムックでの取材撮影では、その場の雰囲気でスピード勝負で撮影して、麺が切れていても、具がバラバラになっていても、雰囲気で美味しく見れるものです。取材撮影では、それで良いのですが・・

商品パッケージや食品カタログ、食品ギフトカタログ、キャンペーンポスター、新聞広告となると、写真の扱い(印刷サイズ)印刷部数など、桁違いな予算を使う事になるので、

料理撮影はスピード勝負と言っても、妥協できない部分は譲れない、プロフェッショナル撮影の頂きを目指すような緻密な感性を必要とする撮影になります。

麺が気になる部分で切れていると、NG! 入っている具が内容量に応じてバランス良く見えてないとNG!

各食材の色が出てないとNG!デザインの文字にかかるからNG!そうこうしている内に、麺が伸びてるから、やり直し!

と下手に撮影をすると何回もリテイク、やり直し、撮り直しとなります。

そうならないためには、経験のある識者からの助言が必要となりますが、WEB・ネットからの情報を頼りにする人もいるかもしれません。(実際、核心に触れる部分のアナログ作業はWEB・ネットからは得られない事が多いですね)

プロフェッショナルのフードフォトグラファーは、撮影のテクニックなど、詳細な部分については、あまり他人に教えないものですが、 今回は、麺が伸びないようにして、具と麺が綺麗に配置できるようにする撮影テクニックと言うかフードコーディネートのテクニックについて考えてみます。

まずは麺が伸びないようにする工夫です、写真撮影では、熱や冷たさを伝えるのに、必ずしも、熱いまま、冷たいままに撮影する必要はありません。

麺をゆでる際は固めに茹でて、撮影が終了する直前に麺の太さがベストになるように、時間を図っておく必要があります。

麺を茹でたあと、冷やしたお酢に浸してからだと、更に伸びるまでの時間を延長できるようです。

またスープも冷えた状態で器にいれてください。熱々の状態では、3分と麺が持たず、すぐに伸びてしまいます。

スープが冷たいと湯気も出ないし、美味しく見えないと心配するかもしれませんが、デジタル撮影の場合は湯気を合成できるので、同じアングルで黒い器に熱いお湯を入れた状態の器だけを撮影しておけば、湯気の合成も違和感なく、出来ます。

湯気を撮影するときは基本、逆光のライティングで背景や床面、器には光が当たらないようにして、湯気のみに当たるようにする事が大切です。スタジオでは、基本的にスポットライトやグリットライト使用して、湯気の撮影をしています。

麺の準備が出来て、伸びるまでの時間が把握が出来たら、具材との配置をデザインと合わしながら配置していきます。

通常通りに料理をすると、麺の上や麺の間に具材をのせるのに、細かい具などは沈んでしまうので、意図する部分に配置するためには、どんぶり・器の底を底上げする必要があります。

底上げの方法は、何種類か試していますが、冷たい状態なら、ゼラチン(ゼライスなど使用)を予め、撮影用の器の底に固めておいて、その上に麺や具材を置く方法が良く使われます。

スープが濃く底が見えないなら、

簡単に大根を輪切りにして、底上げする。

玉砂利(カスが出ない石が良い)など、石を底にひいて、底上げする。

金網を器のサイズに合わせてカットして、底上げする。

(プラスチックのメッシュボードも使えます)

水に溶けないネンドと剣山を利用して底上げする。

など、いろいろな方法が考えられます。

通常は最後にスープを入れるので、スープを入れる前に殆どの配置は終わるのですが、細かいネギやコーンなどの小さな具材はスープで流れてしまうので、最後に配置する事になります。

細かい具材が沈まないように、スープに薬剤を使用して、トロミを付ける事も必要ですが、あまりつけすぎると表面張力が働きすぎて、水面が不自然になるので、注意が必要です。

スープ塩分濃度を濃くして浮きやすくする事も有効です。

こう考えていくと、フード・料理撮影は物理的現象の把握と研究が必要だと感じますね。

次は箸上げ・リフトと呼ばれる撮影方法について、

箸上げとは、グルメ番組や旅番組などで、料理を箸やスプーン・フォークなどで持ち上げて見せる事ですが、

スチール写真では、ラーメン・うどんなどの商品パッケージ写真などで良く見られる広告写真で、この箸上げ、リフトでも、意図して部分に具材と麺を配置する作業が発生します。

器よりも更に小さい部分での配置・レイアウトになるので、細かい作業が必要とされて、手先の器用さなども求められますが、デジタル撮影の恩恵で、修正可能な範囲なら虫ピンや楊枝・竹串、アクリルなどを使用して固定を出来るので、重力に逆らうような難しい配置も可能になっています。

料理・商品にあてる、照明・ライティングの光質は、スピード重視のため、事前に全てセッティングしておいて、本番のシャッターを切る前は微調整のみにしておく必要があります。 これはどんな撮影でも普通の事ですが、バックライトをメインにするか、サイドライトをメインするか、トップのみにするかなど、ライティングの方法論はフォトグラファーの考え方で多少(かなり)の差が出ますが、柔らかいサイドリアライトをメインにした写真が、料理雑誌やムックの料理写真には多い傾向があるようです。

広告写真撮影は物理と感性です。フードフォトグラファーは右脳と左脳の両方を使って、美味しいフード・料理撮影をしましょう。

D-04

湯気は合成の醤油ラーメン パッケージ用撮影です。

今回はここまで。

 

 

 

 

 

PAGE TOP ▲