広告写真の撮り方
フード・料理撮影・麺類の撮影
こだわりの味噌ラーメン パッケージ用撮影です
料理写真・フード写真はスピードを要する場合が多く、麺類などの、ラーメン・ソーメン・ひやむぎ・にゅうめん・うどん・きしめん・そば、いろいろな麺類があります。
ラーメンなどの熱い麺類の料理の撮影で難しい事は、3分位で、すぐに麺が伸びてしまう事です。
雑誌やムックでの取材撮影では、その場の雰囲気でスピード勝負で撮影して、麺が切れていても、具がバラバラになっていても、雰囲気で美味しく見れるものです。取材撮影では、それで良いのですが・・
商品パッケージや食品カタログ、食品ギフトカタログ、キャンペーンポスター、新聞広告となると、写真の扱い(印刷サイズ)印刷部数など、桁違いな予算を使う事になるので、
料理撮影はスピード勝負と言っても、妥協できない部分は譲れない、プロフェッショナル撮影の頂きを目指すような緻密な感性を必要とする撮影になります。
麺が気になる部分で切れていると、NG! 入っている具が内容量に応じてバランス良く見えてないとNG!
各食材の色が出てないとNG!デザインの文字にかかるからNG!そうこうしている内に、麺が伸びてるから、やり直し!
と下手に撮影をすると何回もリテイク、やり直し、撮り直しとなります。
そうならないためには、経験のある識者からの助言が必要となりますが、WEB・ネットからの情報を頼りにする人もいるかもしれません。(実際、核心に触れる部分のアナログ作業はWEB・ネットからは得られない事が多いですね)
プロフェッショナルのフードフォトグラファーは、撮影のテクニックなど、詳細な部分については、あまり他人に教えないものですが、 今回は、麺が伸びないようにして、具と麺が綺麗に配置できるようにする撮影テクニックと言うかフードコーディネートのテクニックについて考えてみます。
まずは麺が伸びないようにする工夫です、写真撮影では、熱や冷たさを伝えるのに、必ずしも、熱いまま、冷たいままに撮影する必要はありません。
麺をゆでる際は固めに茹でて、撮影が終了する直前に麺の太さがベストになるように、時間を図っておく必要があります。
麺を茹でたあと、冷やしたお酢に浸してからだと、更に伸びるまでの時間を延長できるようです。
またスープも冷えた状態で器にいれてください。熱々の状態では、3分と麺が持たず、すぐに伸びてしまいます。
スープが冷たいと湯気も出ないし、美味しく見えないと心配するかもしれませんが、デジタル撮影の場合は湯気を合成できるので、同じアングルで黒い器に熱いお湯を入れた状態の器だけを撮影しておけば、湯気の合成も違和感なく、出来ます。
湯気を撮影するときは基本、逆光のライティングで背景や床面、器には光が当たらないようにして、湯気のみに当たるようにする事が大切です。スタジオでは、基本的にスポットライトやグリットライト使用して、湯気の撮影をしています。
麺の準備が出来て、伸びるまでの時間が把握が出来たら、具材との配置をデザインと合わしながら配置していきます。
通常通りに料理をすると、麺の上や麺の間に具材をのせるのに、細かい具などは沈んでしまうので、意図する部分に配置するためには、どんぶり・器の底を底上げする必要があります。
底上げの方法は、何種類か試していますが、冷たい状態なら、ゼラチン(ゼライスなど使用)を予め、撮影用の器の底に固めておいて、その上に麺や具材を置く方法が良く使われます。
スープが濃く底が見えないなら、
簡単に大根を輪切りにして、底上げする。
玉砂利(カスが出ない石が良い)など、石を底にひいて、底上げする。
金網を器のサイズに合わせてカットして、底上げする。
(プラスチックのメッシュボードも使えます)
水に溶けないネンドと剣山を利用して底上げする。
など、いろいろな方法が考えられます。
通常は最後にスープを入れるので、スープを入れる前に殆どの配置は終わるのですが、細かいネギやコーンなどの小さな具材はスープで流れてしまうので、最後に配置する事になります。
細かい具材が沈まないように、スープに薬剤を使用して、トロミを付ける事も必要ですが、あまりつけすぎると表面張力が働きすぎて、水面が不自然になるので、注意が必要です。
スープ塩分濃度を濃くして浮きやすくする事も有効です。
こう考えていくと、フード・料理撮影は物理的現象の把握と研究が必要だと感じますね。
次は箸上げ・リフトと呼ばれる撮影方法について、
箸上げとは、グルメ番組や旅番組などで、料理を箸やスプーン・フォークなどで持ち上げて見せる事ですが、
スチール写真では、ラーメン・うどんなどの商品パッケージ写真などで良く見られる広告写真で、この箸上げ、リフトでも、意図して部分に具材と麺を配置する作業が発生します。
器よりも更に小さい部分での配置・レイアウトになるので、細かい作業が必要とされて、手先の器用さなども求められますが、デジタル撮影の恩恵で、修正可能な範囲なら虫ピンや楊枝・竹串、アクリルなどを使用して固定を出来るので、重力に逆らうような難しい配置も可能になっています。
料理・商品にあてる、照明・ライティングの光質は、スピード重視のため、事前に全てセッティングしておいて、本番のシャッターを切る前は微調整のみにしておく必要があります。 これはどんな撮影でも普通の事ですが、バックライトをメインにするか、サイドライトをメインするか、トップのみにするかなど、ライティングの方法論はフォトグラファーの考え方で多少(かなり)の差が出ますが、柔らかいサイドリアライトをメインにした写真が、料理雑誌やムックの料理写真には多い傾向があるようです。
広告写真撮影は物理と感性です。フードフォトグラファーは右脳と左脳の両方を使って、美味しいフード・料理撮影をしましょう。
湯気は合成の醤油ラーメン パッケージ用撮影です。
今回はここまで。
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