広告写真の撮り方
映りこみする商品、反射する商品の広告撮影
白と黒の映り込みのバランスと文字盤の見せ方がポイントです。
上の写真は時計撮影の作品です。映り込みの理解をするのに、時計はちょうど良い被写体かもしれません。今回は時計などの反射する被写体の映り込みについてです。
商品写真、写真・映像では、商品・被写体に対する映り込みや反射角度を意識して撮影する事は以前に触れていますが、今回は更に掘り下げて考えてみます。
映り込みとは、鏡のように、商品・被写体に回りのものが映って見える事です。
貴金属・宝石・時計・金管楽器・ギター・ピアノ・ボトル・艶のある商品(プラスチックなど)、家電製品、鏡面の物以外でも映り込みする被写体はたくさんあります。また、自動車が、最も映り込みの多く複雑なライティング作業を必要とする被写体かもしれません。
ビギナー撮影用に販売されている、撮影ドームセットのような安価なセットもありますが、大きさに制限があるので、市販の物で初心者が撮影するにも、限界があるようです。
プロフェッショナルなフォトグラファーが使用する、映り込みをカバーするために使用しているアイテムに、トレーシングペーパーがありますが、それよりも更にコシがあり皺になりにくい樹脂素材のアートトレーシングペーパーがあります。またその中間になるもので「ユポ」と言うディフューズ素材もあります。それを利用して面光源を作ります。
映り込みを抑えて、綺麗に撮影するには、まず被写体をディフューズペーパーの面光源とレフ版で囲む基本的な撮影から、白く撮影用に塗られた壁、天井のある、白ホリゾント、Rホリゾント、ドームスタジオなどが上げられます。
ダリングスプレーと呼ばれる、無反射スプレーも有効ですが、商品の素材を損なわないように注意が必要です。メーカーでは、堀内カラー・クライロン・K-LINEなど、この3つが代表的なようで、黒い商品用のダリングスプレーもあります。
車の撮影などでは、ダリングスプレーを使用してハイライトを強調した事もありますが、
車の広告撮影には、ドームスタジオか、周りに高い建物や電線のないオープンスタジオが必要で、撮影スペースの確保だけでも、相当な予算がかかります。自社の撮影スタジオを自社工場内に持っている最大手自動車メーカーもありましたが、
3DCGが発達した現在では、車が完成する前にPC上でバーチャルな状態で車の完成させて、商業印刷までする事が可能なようで、都内にあった自動車撮影をメインにした撮影スタジオは、ほぼ閉鎖しています。
車は撮影の規模・予算が通常の商品撮影とは桁が違うので、バーチャルな方が予算が抑えられるかもしれませんが、手に取れるような商品では、完成した商品を写真撮影・動画撮影した方が、手早く、リアルに撮影出来るでしょう。
映り込みをキチンと抑えるには、基本のような事あり、商品・被写体の反射角度を理解するの当然ですが、広告写真では、メインライト・トップライト・バックライトと多灯ライティングで撮影する事が多いので、
トップに面光源を作り、両サイドにまた面光源を作る、コの字型を反時計したような形のセッティングが多くなります。面光源となるディフューザーにあてる照明も、スポットタイプの照明を使うと面光源と面光源のつなぎ目がぼやけて、被写体に継ぎ目の映り込みがしないようにできます。
デジタル撮影の場合なら継ぎ目をずらして、数カット撮影して、合成する事で継ぎ目を簡単に消す事が可能です。
どうしてもレンズ・カメラだけは、隠せないので、カメラ前を白か黒の布か紙でカバーしてレンズだけを出して、撮影する風景も良くありますが、カメラや三脚が黒ければ、カメラの後ろを薄暗くするだけでも、カメラ自身の映り込みは軽減できます。
カメラのレンズなどを撮影する際には、レンズの中の映り込みを綺麗に見せるため、レンズを上に向けて撮影して、切り抜いて横向きにしたりもします。その場合は、右か左のライトがトップライトに変わる訳です。商品の置き方も重要になりますね。
映り込みを把握して、撮影するには、商品を360°観察して、撮りやすいセッティングを考えてからセッティングをする事が重要だと思います。
今回はここまで。
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