“おいしさ”が伝わる写真を撮りたい──
普段なにげなく見ている料理写真。実は、見た人の「おいしそう!」を引き出すために、たくさんの工夫と技術が詰まっています。今回は、フード撮影の現場で活躍する弊社カメラマン・山崎に、おいしさを伝える写真づくりのこだわりや楽しさを聞いてみました。

建築業界から写真の世界へ。異色のキャリアが生んだこだわり
山崎: 最初は建築の現場で働いていたんですけど、自分の手で何かを表現したくなって。それで写真の世界に飛び込みました。
偶然見かけた求人広告に載っていた「写真アシスタント募集」の文字。まったくの未経験ながら、スーツ姿で面接に挑み、20人中ただひとり採用されたというエピソードもユニークです。
山崎: 写真については右も左もわからなかったけど、TPOを大事にするって意味では、面接にはちゃんとスーツで行こうと決めてました(笑)
「美味しさ」を伝える楽しさに惹かれて
山崎は現在、大手食品メーカーの広告や、全国流通の食品カタログなど、多様な現場で撮影を手がけています。
山崎: 最初に惹かれたのは、素材の美しさ。リンゴや野菜といった食材を、照明と構図でどこまで“おいしそう”に見せられるか──それがとにかく楽しかったんですよ。
料理写真の面白さって、見た人の「美味しそう!」という反応がすぐ返ってくること。人の手で作られたものだからこそ、そこにリスペクトが生まれるし、撮っていてやりがいがありますね。

シズル撮影のこだわりと哲学
“シズル感”という言葉、みなさん聞いたことはありますか? 湯気やソースのとろけ具合、グラスの結露など、「今すぐ食べたい」「飲みたい」と思わせるような“美味しさの瞬間”のことです。
山崎: シズル撮影で大事にしているのは、ただ料理を照らすだけじゃなくて、料理を取り巻く“空間全体”に光をどう当てるか。つまり、その料理が朝に食べられるのか、夕方なのか、夏なのか冬なのか──そういう時間や季節の空気感まで写真に含めたいと思ってるんです。
自然光っぽさを出すこともあるけど、実はライトでかなり細かく作り込んでます。光の当て方ひとつで、その料理が“美味しそう”に見えるかどうかが変わる。たとえば、少しハイライトを入れるだけで、食材のフレッシュさがぐっと際立つんですよ。
あと、ライティングってただ明るくするんじゃなくて、陰影もすごく大事。カタログ撮影なんかでは、影の出し方で情報量が変わるので、1カット1カット、かなりジャッジしてます。

チームで作る“おいしい一枚”
撮影はチームワークが命。フードコーディネーターやスタイリストとの連携があってこそ、写真の完成度も高まります。
山崎: すごいなと思うのは、プロのコーディネーターさんのさりげないテクニック。たとえば、液体を自然に垂らすために道具を加工したり、エビの色味を引き出すための仕込みをしてくれたり。そういう人が現場にいると、段取りがスムーズに進んで、結果的に撮影全体がすごく助かるんです。

写真に込める“人柄”と“存在感”
山崎: SNSで作品を発信するのも、今は大事な仕事の一部だと思っています。「山崎が撮った」とわかるような写真、人柄がにじみ出る写真を目指したいんです。
写真は“記録”でもあるけど、それ以上に“誰がどう感じて撮ったか”が大事。その視点を持って発信していくことで、お客様との距離もぐっと近くなる気がしています。

売れる写真を届けるために、これから挑戦したいこと
山崎: “撮る”だけじゃなく“売れる”ことにも、これまでもこれからもずっとこだわっていきたいと思っています。
見た人が「おいしそう!」「今すぐ食べたい」と思えるようなシズル写真を、もっと突き詰めていきたいです。そのためにも、他のクリエイターと協力しながら、より鮮度と魅力が伝わる表現に挑戦したいですね。
撮影の仕上げ方や届け方まで含めて、写真の可能性を広げていけたらと思っています。おいしさをしっかり伝える一枚が必要なときは、ぜひお任せください。

(※このインタビューは2025年4月、スタジオ玄にて収録されました)
手間も想いも込めた一品を、伝わる写真に。
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